院試問題 東北大 数学専攻 平成29年 選択問題

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院試問題解答作成基本方針

問題は↓から見られます.
過去の大学院入試問題 | 東北大学大学院理学研究科数学専攻


5,6,7のうち解けるのを解きます.

5

個人的に院試問題の定番だと思っている一様可積分性の問題です.
一様可積分性の話は確率論を学んだことがある人は確実に知っていますが,
そうでない人は解析系でも意外に知らない人が多いような気がします.

一様可積分性について知りたい人は朝倉書店から出ている舟木直久『確率論』にまとまっています.
別にこの本でなくても確率論の入門テキストには大体ありますが,僕はこれで学んだので.

一様可積分性の定義―――
(\Omega,\mathcal{F},\mu)を有限測度空間,\{f_n\}_nを可測関数列とする.
このとき,\{f_n\}_nが一様可積分であるとは,

    \[\lim_{\lambda \to \infty} \sup_n \int_{\{|f_n| > \lambda\}}|f_n| d\mu = 0\]

をみたすことである.
―――

無限測度空間の場合にも,似たような感じで一様可積分性は定義されますが,ここでは扱いません.
一様可積分性の話で最も基本的なのは次の定理です.

定理―――
\{f_n\}_nを可測関数列とし,f_n \to f (n \to \infty )\ a.e.とする.
このとき次は同値.
(1)\{f_n\}_nは一様可積分
(2)\int |f_n - f|d\mu \to 0 (n \to \infty)
―――

この定理は有限測度空間に限っているとはいえ,ルベーグの収束定理の一般化になっています.
これも証明は舟木先生の本に書いてあります.それほど難しくはありませんし,証明も短いです.
この定理を院試の際に事実として使うのはまずいと思いますが,その場で証明しつつ解答を作成することは可能なので覚えておいて損は無いです.以下の解答では上の定理の少し弱いものを証明しつつ解答します.

とはいえ一様可積分の条件が容易に確かめられなくては意味がありません.幸いなことに有用な十分条件があります.これが十分条件であることを確かめるのも容易です.

命題―――
\{f_n\}_nを可測関数列,p >1とする.
このとき,
\sup_n \int |f_n|^pd\mu < \infty \Rightarrow \{f_n\}_nは一様可積分
―――

あと1つ注意をしておくと,一様可積分周辺の話を使わなくてもEgorovの定理でも大抵同じようなことが示せます.
Egorovの定理の証明は上述の舟木先生の本にもありますし,測度論の入門書にも大抵あります.例えば裳華房の伊藤清三『ルベーグ積分入門』.

前置きが長くなりましたが解答に入ります.

上記の事を知っていれば問題を見た途端に,有限測度空間,L^2有界,殆どいたるところで各点収束,の3つから直ちにL^1収束が従うことが分かる訳です.

それで問題を見ると,これはそのL^1収束を示す問題なわけですが,この誘導は一様可積分のかなり典型的な議論をさせるものなので,一様可積分について知っていれば簡単です.

(1)

チェビシェフの不等式です.

    \[r^21_{A_k(r)} \leq |f_k - f|^2\]

の両辺を\muで積分してL^2ノルムの有界性を使えばよいです.
先にFatouの補題からfL^2ノルムもMで抑えられることを出しておきましょう.

(2)

測度有限で\Omega \setminus  A_k(r)上では|f_k -  f|rで抑えられるので,
優関数として定数関数rが取れます.あとはルベーグの収束定理.

(3)

(2)からA_k(r)の外では収束することは既に分かっています.
ではA_k(r)上の積分をどうするか?Holderの不等式を使います.

    \[\int_{A_k(r)} |f_k - f|d\mu \leq \left( \int_{A_k(r)} |f_k - f|^2d\mu\right) }^{1/2}  \mu(A_k(r)) ^{1/2}\]

(1)からkによらず,\mu(A_k(r))\frac{C}{r^2}で抑えられることはわかっているので,結局,

    \[\int_{A_k(r)} |f_k - f|d\mu \leq M^{1/2}\frac{C^{1/2}}{r}\]

を得ます.よって任意のr >0に対し,

    \[\limsup_{n \to \infty} \int_{\Omega} |f_k - f|d\mu \leq M^{1/2}\frac{C^{1/2}}{r}\]

が言えるので,r>0は任意より,証明できました.

6

局所凸空間の理論で出てくる,ミンコフスキー汎関数についての問題です.
ただこの問題におけるKは凸とは限らないので厳密には少し違いますが.
そこら辺の話を知っている必要は全くないありませんが,
ミンコフスキー汎関数がある種の距離のようなもの(セミノルム)として働くことを知っていると解きやすいとは思います.

(1)

簡単なので省略.

(2)

これも簡単ですが一応大まかに解答を書いておきます.
Kは開なので,xを中心とするある開球で,Kに含まれるものがとれます.
そうすると原点からx方向に直線を引いたときにxより少し先に行った点も
Kに含まれます.その点はsx \  (s>1)と書けるので,pの定義から,p(x) < 1/s.

(3)

汎関数q(x)を次のように定めます.

    \[q(x) = \inf \{ \alpha > 0 | x/ \alpha \in B_r\}\]

ここでB_rは原点中心,半径rの閉球です.r>0は問題文にあるようにB_r \subset Kとなるようにとっているものとします.

こう定めると集合の包含関係からp(x) \leq q(x)が成り立つことがわかります.
またq(x)の定義を見て少し考えれば,

    \[q(x) = \frac{||x||}{r}\]

が分かります.

7

複素関数論の問題です.あまり得意ではないのでもっときれいな解答があるかもしれません.
あと(4)は分かっていないので解答は無しです.

(1)

コーシー・リーマンの関係式と正則性から無限回微分可能性が従うことからわかります.

(2)

Greenの公式から従います.

(3)

(2)から,曲線の取り方に寄らないことが分かるので,積分路を,
・0からxを結ぶ直線
xからx + yiを結ぶ直線
の2つをつなげたものにとり,それを偏微分すればわかります.

(4)

省略.

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