院試問題 東北大 数学専攻 平成28年 選択問題

Pocket
LINEで送る


院試問題解答作成基本方針

問題は↓から見られます.
過去の大学院入試問題 | 東北大学大学院理学研究科数学専攻

5,6,7を解きます.

5

測度論の基礎的な知識を問う問題です.
集合列に対する\limsup,\liminfの使用に慣れていないと少してこずるかもしれません.
この問題には出ていませんが,\liminfの方の定義は,
\liminf_{n \to \infty} = \bigcup_{n=1}^{\infty}\bigcap_{k=n}^{\infty}A_kです.

\limsup,\liminfに関して最低限覚えておきたいのは次の事実です.
命題―――
\limsup_{n \to \infty}A_n = \{x |無限個のkについてx \in A_k \}
\liminf_{n \to \infty}A_n = \{x |有限個のkを除いてx \in A_k \}
―――

これらはどちらも定義からすぐにわかります.

(1)

これは確率論では知らない人のいないBorel-Cantelliの補題の一部です.
一応証明しておきましょう.

まず,測度の単調性から任意のN \in \mathbb{N}に対し,
\mu(\limsup_{n \to \infty}A_n) \leq \mu(\bigcup_{k=N}^{\infty}A_k).
次に,測度の劣加法性から,
\mu(\bigcup_{k=N}^{\infty}A_k) \leq \Sigma_{k=N}^{\infty}\mu(A_k).
\Sigma_{n=1}^{\infty}\mu(A_n) < \inftyより,\lim_{n \to \infty}\Sigma_{k=n}^{\infty}\mu(A_k) = 0.
よって示された.

(2)

変わった問題です.B_nの定義がパッと見では分かりにくいですが,落ち着いてやれば解けます.

まずはn=3のとき.

k \geq 4に対し,|x - \frac{k}{3}| < \frac{1}{3^a}とすると,三角不等式から,
|x| > \frac{k}{3} - \frac{1}{3^a} > \frac{k-1}{3} > 1より,x \in (0,1)とはなりえない.
よって,3と互いに素な正整数として1,2のみを考えればよい.

あとは定義に従って確かめれば,

    \[B_3 = \left( \frac{1}{3} - \frac{1}{3^a},\frac{1}{3} + \frac{1}{3^a}\right) \cup \left( \frac{2}{3} - \frac{1}{3^a},\frac{1}{3} + \frac{1}{3^a}\right)\]

ここで,この2つの区間は交わらないことに注意が必要です.これはa>2からわかります.

よって,\mu(B_3) = \frac{4}{3^a}.

n=4のときも同様なので省略します.

(3)

(1)から,\Sigma_{n=1}^{\infty}\mu(B_n)  <\inftyを示せば十分です.
(2)と同様にしてn \in \mathbb{N}に対して,nと互いに素な正整数はn以下のもののみを考えればよいことが分かります.
B_n \subset \bigcup_{k=1}^{n-1}\left( \frac{k}{n} - \frac{1}{n^a},\frac{k}{n} + \frac{1}{n^a} \right)
より,\mu(B_n) \leq \frac{2}{n^a} n = \frac{2}{n^{a-1}}.
a>2より\Sigma_{n=1}^{\infty}\frac{2}{n^{a-1}} < \infty.

6

これは畳みこみの事が分かっていれば難しくは無いです.
ただ計算量はなかなかあります.

(1)

まずは,弱収束を示します.
次の命題が分かっていれば簡単です.
命題―――
g \in L^1(\mathbb{R})に対し,次が成り立つ.

    \[\lim_{R \to \infty}\int_{[-R,R]^c}|g|dx = 0\]

―――
これの証明はルベーグの収束定理で一発です.
\rhoの台が[-M,M]に含まれているとし,h \in L^2(\mathbb{R})としましょう.
このとき,ルベーグ測度の平行移動不変性を用いれば,
\int_{\mathbb{R}} u_n(x)h(x)dx = \int_{[-M-n,M-n]} u(x)h(x)dxがわかります.
あとはHolderの不等式を使った後,上の命題を用いればこの積分は0に収束することがわかります.

次に,0に強収束しないことを示します.
これは,再び平行移動不変性を用いれば,Fu_n(x) = Fu(x+n)がわかるので,||Fu_n||_2 = ||Fu||_2.
よって,||Fu||_2 \neq 0を言えばよいことになります.
f,\rhoはともに恒等的に0ではないので,あるp,q \in \mathbb{R}とある\epsilon,\delta > 0が存在して,
f > \epsilon\  on\  (p - \delta, p + \delta ),\rho > \epsilon\  on\  (q - 2\delta, q + 2\delta )とできる.
-\delta <\alpha < \deltaに対し,

    \[Fu(p+q+ \alpha)\]

    \[\geq \int_{(q - \delta, q + \delta )}f(p+q+\alpha-y)\rho (y)dy\]

    \[\geq \int_{(q - \delta, q + \delta )}f(p+q+ \alpha - y)\epsilon dy\]

    \[\geq \int_{(q - \delta, q + \delta )}{\epsilon}^2 dy\]

    \[= 2\delta {\epsilon}^2\]

よってFu \geq 2\delta {\epsilon}^2 \ on\  (p + q - \delta,p + q + \delta)より,||FU||_2 \neq 0.

(2)

これはかなり粗い評価で問題なく行けます.supで抑えても,Holderを使ってもどっちでも大丈夫です.とりあえず手を動かせば解けるという感じです.

    \[{||Gu||_2}^2\]

    \[= \int_{\mathbb{R}} \exp^{-|x|}|Fu(x)|^2 dx\]

    \[\leq \int_{\mathbb{R}} \exp^{-|x|} \int_{\mathbb{R}} |f(x-y)|^2 |u(y)|^2 dy dx\]

とここまで計算したら,Fubiniの定理を使って積分順序を入れ替え,
f||f||_{\infty}で上から抑えれば,

    \[||G||  \leq \sqrt{2}||f||_{\infty}\]

が得られます.

(3)

{||Gv_n||_2}^2 = \int_{\mathbb{R}} \exp^{-|x|} {\left(\int_{\mathbb{R}}f(x-y) v_n(y) dy \right)} ^2dxであり,
v_n0に弱収束することから各x \in \mathbb{R}に対し,\int_{\mathbb{R}} f(x-y) v_n(y) dy  \to 0 \ (n \to \infty).

また,(2)と同様に評価すれば,

    \[\left| \int_{\mathbb{R}}f(x-y) v_n(y) dy \right| \leq ||f||_{\infty} ||v_n||_2\]

であり,\{v_n\}は弱収束することから有界となるので,
\left| \int_{\mathbb{R}}f(x-y) v_n(y) dy \right|x, nによらない定数で上から抑えられます.
これより,\int_{\mathbb{R}} \exp^{-|x|} \int_{\mathbb{R}}f(x-y) v_n(y) dy dxに対して,ルベーグの収束定理が使えて,n \to \infty0に収束することが分かります.

7

複素関数論の問題です.留数計算も特に必要としない,初等的な計算だけで解けます.
ただ(2)は計算の仕方に気を付けないと,式が大変なことになります.
僕は最初,しくじりました.

(1)

{\left( z + \frac{c}{z}\right)}^nを展開して,zのべきに注意すれば求まります.

(2)

一見いかつい数式ですが,左辺をよく見ると,\cos\theta ,\sin\thetaの1次結合のべきを展開したような雰囲気があります.ただ項のべきが2つ飛びになっていることから,虚数を含む1次結合のべきの実部,または虚部を見た物だろうという予想が立ちます.こうなると(1)の式を曲線Cに沿って積分して,
指数関数を三角関数で表せば何とかなりそうな気がしてきます.

計算をする際には{\left( \exp^{i\theta} + c \exp^{-i\theta}\right)}^nを展開する前に三角関数に直しておきましょう.展開してから三角関数に直すと大変なことになります.

結局,I_{2m}の虚部を見れば,等式が導けます.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください