月別アーカイブ: 2017年10月

院試問題 九大 数理学府 平成30年 専門科目

Pocket
LINEで送る

院試問題解答作成基本方針

問題は↓から見られます.
入学・入試案内 | 九大数理学研究院


7

複素関数論の基本的な問題です.

(1)

正則関数なのでaの近傍でべき級数展開出来るので,仮定より直ちにわかります.

(2)

一致の定理を示せという問題です.色々示し方はあると思いますがここでは(1)を使ってみます.

背理法で示します.aの任意の近傍で恒等的に0でないと仮定します.
すると,faのある近傍で正則なのである近傍U上べき級数で表せます.
このとき背理法の仮定よりあるn \in \mathbb{N}が存在してf^{(n)}(a) \neq 0となります.
よって(1)より,g(a) \neq 0なるU上の正則函数を用いて,f(z) = (z-a)^n g(z) , z \in Uと表せます.

f(z_j) = 0より,g(z_j) = 0であり,\{z_j\}_jaに収束するので連続性よりg(a) = 0です.
よって,矛盾より,示せました.

(3)

連結性を使います.以下では位相はすべてDの相対位相を考えます.

A = \{ z \in D | f(z) = 0 \}と定めます. fは(2)の条件を満たすのでAは内点を持ちます.
つまりA^iAの内部とすると,A^i \neq \emptysetです.
(2)からA^iの境界はA^iに含まれることがわかります.よって,A^iは開かつ閉であり,
空ではないので,Dの連結性からA=Dが分かります.

(4)

x + iy \in \mathbb{C}, x,y \in \mathbb{R}に対し,\sin (x+iy) = 0の実部,虚部を整理すると,
x = 0,y = 2\pi n , n \in \mathbb{Z}が容易にわかります.

よって,任意のx \in \mathbb{R}に対し,\sin(h(x)) = 0なら,h(x) \in \{2\pi n i | n \in \mathbb{Z}\}となりますが,hの連続性から,あるn \in \mathbb{Z}が存在して,
h(x) = 2\pi ni , x \in \mathbb{R}となります.
g(z) = h(z) - 2\pi niと定めます.
(2)(3)でD = \mathbb{C}とすれば,g(z)= 0 , z \in \mathbb{C}がわかります.

8

微分方程式の問題です.誘導に従っていけば解けます.

(1)

z(t) = y(\exp(t))と定め,zについての微分方程式に変換します.
連鎖律を使うだけです.

    \[z'' - 4z' + 4z =t\exp(2t)\]

となります.

(2)

Dを微分作用素とするとき,D(z \exp(at)) = \exp(at)(D + a)z , a \in \mathbb{R}であることを用いて計算していきます.

(1)より解くべき微分方程式は(D-2)^2z = t \exp(2t)です.
上に記した公式からD^2(z\exp(-2t))=tとなるので,
z\exp(-2t) = \frac{1}{6}t^3 + C_1t + C_2より,一般解は,
z = \exp(2t)(\frac{1}{6}t^3 + C_1t + C_2)です.

(3)

(2)の定数C_1,C_2を決定するだけです.

9

一様可積分性についての問題です.(4)が難しいです.

(1)

これは成り立ちます.基本的な問題です.

\epsilon > 0を任意にとります.このときgは可積分よりルベーグの収束定理から,
あるM > 0がとれて,\int_{\{g > M\}}g d\mu < \epsilonが分かります.

|f_n| \leq gより,\{|f_n| > M\} \subset \{g >M\}がわかるので,
\int_{\{|f_n| >M\}}|f_n|d\mu \leq \int_{\{g >M\}}g d\mu < \epsilonです.
nは任意なので,\sup_n \int_{\{|f_n| >M\}}|f_n|d\mu \leq \epsilonより,
与えられた命題が成り立つことが分かります.

(2)

これも成り立ちます.これも基本的な問題です.

\{f_n\}_nは一様可積分より,あるM >0が存在して\sup_n \int_{\{|f_n| >M\}}|f_n|d\mu <1
がわかります.
よって,
\int |f_n|d\mu = \int_{\{|f_n| >M\}} |f_n|d\mu + \int_{\{|f_n| \leq M\}} |f_n|d\mu <1 + M\mu(X)が成り立ち,
この評価はnによらないので与えられた命題が成り立つことが分かりました.

(3)

これは成り立ちません.これも簡単です.

反例を作ります.有限測度空間([0,1],\mathcal{B},\mu)を考えます.ここで\mathcal{B}[0,1]の開集合から生成される\sigma加法族,\muをルベーグ測度とします.

f_n(x) = n1\{0 \leq x \leq 1/n\}と定めます.
このとき明らかに\sup_n \int |f_n|d\mu = 1であり,
また任意のM > 0に対し,n>Mなるn \in \mathbb{N}を考えれば,
\sup_n \int_{\{|f_n| >M\}}|f_n|d\mu = 1も分かります.
よって与えられた命題が成り立たないことがわかりました.

(4)

これは成り立ちます.これだけやたらと大変です.もっと簡単な方法があるのかもしれません.
解答は中々に量があるので簡略に書きます.

以下では\mu (f) = \int f d\muというような表記法を用います.
\varphi(t) = |t|\log \log (2+|t|), t \in \mathbb{R}と定めます.
a,b \in \mathbb{R}に対し,\max\{a,b\} = a\vee bと表します.

最初はモーメント型の不等式を使うときの典型的な変形をして計算していきます.
その前に\varphiについて少し調べておきます.
\varphiの微分を計算することで,tがある程度大きければ\varphi(t)は狭義単調増大になることが分かります.
また,\lim_{t \to \infty}\varphi(t) = \inftyも容易にわかります.
よって,あるC>0がとれて,t >Cでは\varphi(t)は正で狭義単調増大で次が成り立つようにできます: \sup_{s \in [0,C]}\varphi(s) \leq \inf_{s \in [C,\infty]\varphi(t)}. 少しややこしいですが, これはMが十分大きければ, \mu \{M < g\} = \mu \{\varphi(M) < \varphi(g)\}が成り立つことを示しています.
M>Cを任意にとります.任意の非負可積分関数gに対し,次のように評価します.

上の計算の1~3行目のような,「関数fの測度\muでの積分」を「f\muに関する分布関数のルベーグ積分」に置き換えるという操作はよく使われるものです.

上の式変形の最右辺の第2項を更に評価します.
ここで,\varphi(t) = uという変数変換をします.
t >Cでは, \varphi(t)の逆関数\psiが取れることに注意します.

以上を踏まえて以下の計算をしていきます.以下ではMCより大きいとします.

よって,gとして|f_n|を考えれば,
\mu(|f_n| 1_{\{|f_n| >M\}}) \leq \frac{M}{\varphi(M)} \mu(\varphi(|f_n|))  + \sup_{x \in [\varphi(M),\infty)}|\psi'(x)|\mu(\varphi(|f_n|))

仮定より,\sup_{n} \mu (\varphi(|f_n|)) \leq Aなる定数A>0がとれるので,
\sup_n \mu(|f_n| 1_{\{|f_n| >M\}}) \leq \frac{M}{\varphi(M)} A  + \sup_{x \in [\varphi(M),\infty)}|\psi'(x)|A
がわかります.
\varphiの定義から明らかに,\frac{M}{\varphi(M)} \to 0 (m \to \infty)が成り立ち,
逆関数の微分は元の関数の微分の逆数であることから\psi'(x) = 1/\varphi'(x)で,
簡単な計算から\varphi'(x) \to \infty (x \to \infty)がわかるので,
\psi'(x) \to 0 (x \to \infty)となり,与えられた命題が成り立つことが分かりました.

(5)

これは成り立ちます.特に難しい点はありません.

\epsilon > 0を任意にとります.
\{f_n\}_nは一様可積分より,あるM >1が存在して
\sup_n \int_{\{|f_n| >M\}}|f_n|d\mu <\epsilonとできます.

よって

    \[\int_{\{|f_n| >1 \}} |f_n|d\mu = \int_{\{|f_n| >M \}} |f_n|d\mu + \int_{\{1< |f_n| \leq M \}} |f_n|d\mu\]

    \[\leq \epsilon + M \mu \{|f_n| >1\}$がわかります.\]

仮定より,\lim_{n \to \infty} \mu\{|f_n| >1\} = 0より,
\limsup_{n \to \infty} \int_{\{|f_n| >1 \}} |f_n|d\mu \leq \epsilon.
\epsilonは任意に小さくとれるのでこれで与えられた命題が成り立つことが分かりました.

10

(1)

期待値を計算するだけです.

(2)

分布関数の微分が密度関数になるので,分布関数を計算します.
x \in [0,\theta]に対し,
P[Z_2 \leq x] = P[X_1 \leq x , X_2 \leq x] = P[X_1 \leq x]^2 = (x/\theta)^2
となるので,密度関数をgとするとg(x) = (2x/\theta^2)1\{0 \leq x \leq \theta\}.

(3)

(2)と同様にすれば,密度関数hh(x) = (nx^{n-1}/\theta^n)1\{0 \leq x \leq \theta\}となることが分かります.

(4)

期待値を計算するだけです.

11

関数解析っぽい問題です.有限次元なので単位球のコンパクト性が使えます.

(1)

計算するだけです.有限次元なのでノルムから誘導される位相はどれも同値です.
ここではsupノルムから定まる位相を考えることにします.

x \in \mathbb{R}^n,||x||_{\infty} = 1とします.y = Axと定めると,
y_i = \sum_{\substack{j=1 \\ j \neq i}}^{n} (-a_{ij})x_jです.
よって,|y_i| \leq ||x||_{\infty}\sum_{\substack{j=1 \\ j \neq i}}^{n} |a_{ij}| <||x||_{\infty} = 1がわかります.
2つめの不等号では仮定を用いています.

これより,||y||_{\infty} < 1がわかります.
\mathbb{R}^nの単位球はコンパクトで,
関数x \mapsto ||x||_{\infty}は連続なので単位球上最大値を持ちますが,
上の計算から最大値は1より真に小さいことが分かります.

(2)

B = A -Eに注意します.Eは単位行列です.

    \[x^{(k+1)} -x^{\ast} = Bx^{(k)} + b - x^{\ast} = Bx^{(k)} + Ax^{\ast} - x^{\ast}\]

    \[= Bx^{(k)} + (A-E)x^{\ast} = B(x^{(k)} -x^{\ast})\]

からわかります.

(2)

r = ||B||_{\infty}と定めると,(1)よりr <1です.
よって,||x^{(k)} - x^{\ast}|| \leq r^{k-1} ||x^{(1)}-x^{\ast}||_{\infty} \to 0 (k \to \infty)よりわかります.

院試問題 東大 数理科学研究科 平成29年 専門科目B

Pocket
LINEで送る

院試問題解答作成基本方針

問題は↓から見られます.
平成30(2018)年度修士課程入学試験について | 東京大学大学院数理科学研究科理学部数学科・理学部数学科

この年の問題は難しいですね.


9

これは割合簡単な問題です.一様可積分性っぽい雰囲気はありますが特にその方面の知識は要りません.

(1)

q = \frac{p}{p-1}とおくと,1/p +1/q = 1であることに注意しましょう.
これでHolderの不等式から,f_n(x)g(x) \in L^1(\mathbb{R})が分かります.

A_{M,n}上では,|f_n(x)g(x)| \leq M|g(x)|^{\frac{p}{p-1}}が成り立つので,
可積分な優関数としてM|g(x)|^{\frac{p}{p-1}}をとってルベーグの収束定理を使えばOKです.

(2)

(1)からA_{M,n}上での積分が0に収束することは分かっているので,

\limsup_{n \to \infty }\int_X |f_n(x)g(x)|d\mu (x) = \limsup_{n \to \infty }\int_{A_{M,n}^c}|f_n(x)g(x)|d\mu (x)が成り立ちます.この右辺を評価していきます.

A_{M,n}^c上では,|f_n(x)g(x)| \leq \frac{1}{M}|f_n(x)|^pが成り立ちます.
またR := \sup_n \int_X |f_n(x)|^p d\mu(x)とおくと,仮定よりR < \inftyとなります.
よって,\sup_n \int_{A_{M,n}^c} |f_n(x)g(x)| d\mu(x) \leq \frac{1}{M}Rとなるので,

結局,

    \[\limsup_{n \to \infty }\int_X |f_n(x)g(x)|d\mu (x) \leq \frac{1}{M}R\]

がわかり,右辺のMはいくらでも大きくとれるので,これで示せました.

11

これは少し面倒です.
(1)はL^1 - L^{\infty}の双対性を使って具体的に共役作用素を表して,像に入らなさそうな元を考えます.
(2)はルベーグ測度の位相的性質,つまり連続関数による近似を使います.
ちゃんと書くと記述量が結構多くなるので端折り気味に書きます.
またL^1(\mathbb{R})^{\ast},l^1(\mathbb{N})^{\ast}はそれぞれL^{\infty}(\mathbb{R}),l^{\infty}(\mathbb{N})と同一視します.

(1)

定義に従って計算することによって,\varphi \in L^{\infty}(\mathbb{R})に対し,
T^{\ast}(\varphi) = (\int \varphi(x)\chi_n(x) dx)_n \in l^{\infty}(\mathbb{N})がわかります.

k,l \in \mathbb{N}\chi_k = 1_{(-1,0)},\chi_l = 1_{(0,1)}となるようにとります.
このとき,\delta \in l^{\infty}(\mathbb{N})を第k,l成分が1であとの成分はすべて0であるような元と定めます.\deltaT^{\ast}の像に含まれないことを示します.

背理法で示します.T^{\ast}(\varphi) = \deltaであると仮定します.
このとき\deltaの定義から,\int_{\mathbb{R}} \varphi(x)dx = \Sigma_{n=-\infty}^{\infty}\int_{(n,n+1)}\varphi(x)dx = 2が成り立ちます.

しかし,同時に\int_{\mathbb{R}} \varphi(x)dx = \Sigma_{n=-\infty}^{\infty}\int_{(n-1/2,n+1/2)}\varphi(x)dx = 0も成り立つので矛盾します.

よって,背理法より示されました.

(2)

まず,Ker T^{\ast}の元がどのようなものかあたりをつけます.
\varphi \in KerT^{\ast}とすると,任意の(\eta_n)_n \in L^{\infty}(\mathbb{R})に対して,\Sigma_n \eta_n\int_{I_n}\varphi(x)dx = 0より,
任意のn \in \mathbb{N}に対し,\int_{I_n}\varphi(x)dx = 0がわかります.

これより,\varphi1を周期に持つような感じの関数であることが分かります.
ここから確かに\varphi(\sigma f) = \varphi(f)が成り立ちそうな気がしてきます.
ただ当然のことながらL^{\infty}(\mathbb{R})の元の各点の値というのは意味を持ちませんから,
積分を通じてこの性質を使っていくことになります.

となれば,f \in \L^1(\mathbb{R})をとったときに,それを近似するような幅1/nの階段状の関数が取れれば良さそうです.
ここで幅1/nの階段状の関数とは,任意のk \in \mathbb{Z}に対し,
(k/n,(k+1)/n]上で定数となるような関数を考えています.

f \in \L^1(\mathbb{R})に対して直接そのような関数での近似を考えるのは難しいので,
まず,fを台がコンパクトな連続関数gL^1の意味で近似します.
これが出来るのは有名な事実ですし,証明も簡単なのでここでは認めて使います.

そして,そのgn \in \mathbb{N}に対し,(k/n,(k+1)/n] \ (k \in \mathbb{Z})上でn\int_{(k/n,(k+1)/n)}g(x)dxとなるような幅1/nの階段状の関数g_nを考えれば,gの一様連続性からg_ngL^1収束します.

よって結局,階段状の関数がL^1(\mathbb{R})で稠密であることが分かるので,
任意の階段状の関数gに対し,\varphi(\sigma g) = \varphi(g)を示せばよいことが分かります.
あとは計算です.

まずn \in \mathbb{N}, k \in \mathbb{Z}に対して,b_{n,k} = \int_{(k/n,(k+1)/n]} \varphi(x)dxと定めると,\int_{I_n}\varphi(x)dx = 0 \ (n \in \mathbb{N})より,b_{n,k} = b_{n,k + n}が成り立つことに注意します.

このときn次の階段状の関数gは,ある数列\{a_n\}_nを用いてg(x)= \Sigma_n a_n 1_{(k/n,(k+1)/n]}と書けます.
よって,\varphi(\sigma g) = \Sigma_k a_k b_{n,k+n} = \Sigma_k a_k b_{n,k} = \varphi(g)となるので示されました.

13

以前,(3)はチェルノフ型の不等式でも解けると書いていたのですが,
計算に誤りがあり,出来ていませんでした.4次モーメントの計算は問題なくできます.

(1)

これは簡単です.一応証明を書いておきます.

P[\lim_{n \to \infty} M_n < \infty] = \lim_{m \to \infty}P[ \lim_{n \to \infty}M_n < m]より,
P[ \lim_{n \to \infty}M_n < m] = 0を示せば十分です.

これは,
P[ \lim_{n \to \infty}M_n < m] = \lim_{n \to \infty} P[M_n < m] = \lim_{n \to \infty} P[N_1 < m]^n = 0
よりわかります.

(2)

概収束は(1)と大数の強法則を用いればすぐに分かります.
L^p収束は任意のm \in \mathbb{N}に対して\{S_n\}L^m有界であることを示せば,
一様可積分性の議論より従います.
\sqrt{M_n}(S_n - S_{\infty})の極限は中心極限定理からわかります.
XNは独立なので逐次積分に置き換えて中心極限定理を使います.

まず,大数の強法則より,\frac{\sum_{j = 1}^{n} X_j}{n} \to \theta (n \to \infty)\ a.s.がわかります,
(1)より,M_n \to \infty (n \to \infty) \ a.s.がわかるので,
確率1で,(S_n)_nは,\left( \frac{\sum_{j = 1}^{n} X_j}{n} \right)_nの部分列です.
よって,S_n \to \theta (n \to \infty) a.s.が分かります.
これで概収束は言えました.

次は任意のm \in \mathbb{N}に対して\{S_n\}L^m有界であることを示します.
これは簡単な計算で分かりますが,少し長いので簡略に書きます.

まず独立性から,E|S_n|^m = \sum_{k =1}^{\infty} \frac{1}{k^m}E[(\sum_{j=1}^{k} X_j)^m ]P[M_n = k]が分かります.E[(\sum_{j=1}^{k} X_j)^m ]を評価していきます.

Xの分布を使って,E[(\sum_{j=1}^{k} X_j)^m ] = \int_{(0,\infty)^k} (x_1 + \cdots +x_k)^m \theta^{-k}\exp(-\theta^{-1}(x_1 + \cdots +x_k))dx_1 \cdots dx_kがわかります.
この積分でy_1 = x_1 + \cdots +x_k , y_i = x_i (i = 2, \cdots ,k)と変数変換して計算すると,結局,
E[(\sum_{j=1}^{k} X_j)^m ] = \frac{(m+k-1)!}{(k-1)!} \theta^mが分かります.

よって,a_k = \frac{1}{k^m}\frac{(m+k-1)!}{(k-1)!}\theta^mと定めると,
E|S_n|^m = \sum_k a_k P[M_n = k]が分かります.
あとは(a_k)_kが有界であることが言えれば,(E|S_n|^m)_nnに寄らない定数で抑えられることが分かりますが,(a_k)_kの有界性はスターリングの公式より直ちにわかります.
よって,L^p収束が言えました.

最後に,\sqrt{M_n}(S_n - S_{\infty})n \to \inftyでの極限分布を求めます.
f : \mathbb{R} \to \mathbb{R}を有界連続関数とします.
E[f(\sqrt{M_n}(S_n - S_{\infty}))]n \to \inftyでの極限を求めます.

まず明らかに,\sqrt{M_n}(S_n - S_{\infty}) = \frac{\sum_{j=1}^{M_n} (X_j -\theta)}{\sqrt{M_n}}です.

また,中心極限定理より,E[f(\frac{\sum_{j=1}^{n} (X_j -\theta)}{\sqrt{n}})] \to E[f(\theta Z)] (n \to \infty)が分かります.
ここでZは平均0,分散1の正規分布に従う確率変数です.

(N_k)_k(X_k)_kの独立性から,
E[f(\frac{\sum_{j=1}^{M_n} (X_j -\theta)}{\sqrt{M_n}})] = E[E[f(\frac{\sum_{j=1}^{u} (X_j -\theta)}{\sqrt{u}})]|_{u=M_n }]です.
E[f(\frac{\sum_{j=1}^{u} (X_j -\theta)}{\sqrt{u}})]|_{u=M_n }f(\frac{\sum_{j=1}^{M_n} (X_j -\theta)}{\sqrt{M_n}})M_nを定数と見なして積分したものです.

ここで(1)より,M_n \to \infty(n \to \infty) \ a.s.が分かるので,
E[f(\frac{\sum_{j=1}^{u} (X_j -\theta)}{\sqrt{u}})]|_{u=M_n } \to E[f(\theta Z)] (n \to \infty) a.s.が言えます.

また明らかに,|E[f(\frac{\sum_{j=1}^{u} (X_j -\theta)}{\sqrt{u}})]|_{u=M_n }| \leq ||f||より,
ルベーグの収束定理から,E[E[f(\frac{\sum_{j=1}^{u} (X_j -\theta)}{\sqrt{u}})]|_{u=M_n }] \to E[E[f(\theta Z)]] = E[f(\theta X)] (n \to \infty)がわかります.

よって,\sqrt{M_n}(S_n - S_{\infty})n \to \infty\theta Zに分布収束します.

(3)

これは大変でした.まず,F_nを微分して極値を求められるので,T_nはexplicitに書けます.
そしてT_nの収束先の予想は立ちます.しかし問題となるのは実際に収束するのを示すことです.
概収束をどう示すかに僕は大いに悩みました.独立な要素が加わるわけでは無いので大数の強法則は使えませんし,マルチンゲールでもないので概収束定理も使えません.

ここではBorel-Cantelliの補題を使って概収束を示します.
Borel-Cantelliの補題を使うには確率の無限和を評価しなくてはなりませんが,ここはオーソドックスにモーメント型の評価で行けます.4次モーメントを評価します.

概収束が言えれば,あとは任意のp \geq 1に対して\{T_n\}L^p有界であることを示せば,
一様可積分性の議論より,L^p収束が分かります.

ただこれら全部の議論をするにはかなりの計算量が必要です.
院試の時間内に完全に解くのは個人的には現実的では無いと思います.
もちろんもっと楽な解法があるなら話は別ですが.

まずは,F_nが最大値をとるtの値を求めます.

    \[F_n(t) = \frac{1}{t^{N_1 + \cdots + N_n}}\exp(-\frac{(X_1 + \cdots + X_{N_1}) + \cdots + (X_1 + \cdots + X_{N_n})}{t})\]

より,\frac{1}{t^k}\exp(-\frac{a}{t}) (k \in \mathbb{N},a \geq 0)という形の関数の最大値とるtの値を求めればよいことになります.これは微分すればわかり,t=a/nのときに最大値を取ります.

よって,T_n = \frac{\sum_{k=1}^{n}\sum_{j=1}^{N_k}X_j}{U_n}となります,
ここでU_n = \sum_{k=1}^{n}N_kと定めました.

T_nの形からnを増やした時に独立な要素が加わる訳では無いことが分かるため,
極限は退化したものにはならないことが分かります.

T_nの分子にどれくらいの頻度でX_jが現れるのかを見たいので,
それを見るための確率変数を導入します.n,j \in \mathbb{N}に対し,
\varphi_{n,j} = \#\{ k \in \mathbb{N} | k \leq n ,N_k \geq j \} = \sum_{k=1}^{n}1\{N_k \geq j\}
と定めます.こうすると
T_n = \frac{\sum_{j=1}^{\infty} \varphi_{n,j}X_j}{U_n}と表せます.

大数の強法則より,

    \[\frac{\varphi_{n,j}}{U_n} = \frac{ \varphi_{n,j}}{n} \frac{n}{U_n} \to \frac{1}{2^{j-1}} \frac{1}{2} = \frac{1}{2^j} (n \to \infty) \ a.s.\]

が分かるので,T_nの分子に現れるX_jの個数の割合は全体の1/2^jに近づいていくことが予想されます.つまり,T = \sum_{j=1}^{\infty} \frac{1}{2^j}X_jに収束することが予想されます.

実際に概収束することを示していきますが,計算の過程でU_nが扱いにくいのと,X_jをセンタリングして扱いたいので,問題を少しreductionしておきます.

    \[T_n \to T \ a.s. \Leftrightarrow \frac{\sum_{j=1}^{\infty} \varphi_{n,j}(X_j - \theta)}{U_n} \to T -\theta \ a.s.\]

    \[\Leftrightarrow \frac{\sum_{j=1}^{\infty} \varphi_{n,j}(X_j - \theta)}{2n} \to T -\theta \ a.s.  \Leftrightarrow \sum_{j=1}^{\infty}(\frac{\varphi_{n,j}}{2n} - \frac{1}{2^j})(X_j - \theta) \to 0 \ a.s.\]

が成り立つので,一番右を示します.2つ目の同値では大数の強法則を用いています.
V_n = \sum_{j=1}^{\infty}(\frac{\varphi_{n,j}}{2n} - \frac{1}{2^j})(X_j - \theta)と定めます.

Borel-Cantelliの補題より,任意の\epsilon > 0に対し,
\sum_{n=1}^{\infty} P[|V_n| > \epsilon] < \inftyが言えれば,V_n \to 0 \ a.s. (n\to \infty)が分かります.

\epsilon > 0を固定します.
nによらない定数C >0に対し,P[|V_n| > \epsilon] \leq C/n^2と出来ることが言えれば十分です.
これを示すためにチェビシェフの不等式を用いて4次モーメントを評価します.
何故2次ではなく4次かというと2次ではP[|V_n| > \epsilon] \leq C/nまでしか出ないからです.
計算が結構面倒なので端折り気味に書きます.
V_nは無限和で扱いにくいのでまずは有限和の話に落とし込みます.

ここでV_{n,k} = \sum_{j=1}^{k}(\frac{\varphi_{n,j}}{2n} - \frac{1}{2^j})(X_j - \theta)です.
P[|V_{n,k}| > \epsilon]をチェビシェフの不等式とヘルダーの不等式を用いて評価していきます.

ここでm_{n,i} = E\left[\left(\frac{\varphi_{n,i}}{2n} - \frac{1}{2^i}\right)^4 \right]です.
よって次はm_{n,i}を評価していきます.

となりますが,1\{N_p \geq i\} - \frac{1}{2^{i-1}}は2点にのみ値をとる関数なので簡単に期待値が計算でき,
あるn,iによらない定数C'' > 0がとれて,

    \[E\left[\left(1\{N_p \geq i\} - \frac{1}{2^{i-1}}\right)^4\right],E\left[\left(1\{N_p \geq i\} - \frac{1}{2^{i-1}}\right)^2\right] \leq C'' \frac{1}{2^i}\]

とできます.

よってこれより,あるn,iによらない定数C >0がとれて,\sum_{i=1}^{\infty} m_{n,i} \leq C\frac{1}{n^2}となることが分かり,
P[|V_n,k| > \epsilon] \leq C/\epsilon^4 n^2が言えるので,概収束が言えました.

最後に任意のm \in \mathbb{N}に対し,T_nL^m有界であることを示します.
(X_n)(N_n)の独立性から,


がわかります.E\left[\left( \sum_{j=1}^{\infty} p_{n,j} X_j \right)^m\right]を評価していきます.
\varphi_{n,j}の定義から,確率1で,有限個のjを除いてp_{n,j} = 0が分かります.

よって,(a_1X_1 + \cdots +a_kX_k)^m , k,a_1, \cdots ,a_k \mathbb{N}という形の確率変数の期待値を評価すればよいことになります.
E[X^l] = l!\theta^lであることに注意すると,単純な計算から,

がわかります.
よって,E\left[\left( \sum_{j=1}^{\infty} p_{n,j} X_j \right)^m\right] \leq m! \theta^m (\sum_{j=1}^{\infty} p_{n,j})^mがわかるので,
\sum_{j=1}^{\infty} \varphi_{n,j} = U_nから,E|T_n|^m \leq m!\theta^mを得ます.
よって,(T_n)_nL^m有界性がわかり,これですべて示せました.